西隆寺
西隆寺は石見町では珍しい真言宗のお寺です。開基は1321年で余勢城主代々の祈願所であり、石見町では最古の歴史を誇ります。
過疎地に有って檀家は僅か一件が残るのみの古刹ですが地元北区では毎年8月17日の送り盆の行事として盛大に盆行事が行われています。
普段は山間の地に、時間も止まったようにひっそりと忘れ去られたかのような、無人の廃寺ですが、この日には地元の皆さんの手で賑やかになります。
山間の地にひっそり佇む、昼間の西隆寺
(写真左)梵鐘は戦時中の供出によって失われた。
現在、釣り鐘として残るのは同じく戦時中に使用された「松根釜(しょうこんがま)」(大戦末期の戦闘機の燃料として松を使い、それを煮る際に使われたもの。貴重品である。)
(写真右)境内の井戸。釣瓶で水を汲み上げる。近年地元の方々によって飲用可能に整備された。美味です、そのうち酒を仕込みたいです。
石見町重要文化財大日如来像
もと賀茂神社境内にあった三重塔の本尊。
塔廃毀後西隆寺に保管された。
仏塔「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」
先祖、地域の平安を願って建立された仏塔。正面上部に大日如来像
これくらいの大きさのものは非常に珍しい
十七夜
夜、火舟が賑やかに地域を練り歩き行事の開始を告げる。
本堂の中では僧侶による読経、供養が営れます。
地域の方々総出の盆踊りが夜遅くまで行われます。出店やアマチュアバンドが場を盛り上げます。
この行事を最後にこの地区のお盆行事は終了します。
帰省されていた方は最後のUターンをされ地域は又、いつもの静けさを取り戻します。
朝夕の気温も涼風が吹き始め季節は間もなく実りの秋、刈り入れの農作業が始まります。
かって、仏閣は地域の象徴であったはずです。地域を挙げて風前の灯火のような古刹を守り次の世代に伝統として引き継ぐ事、これ本当の地興しだと実感できました。素朴な心洗われるような山里の盆行事ですが末永く続くことを祈らずにはおれません。